AMAZINGなスパイダーマンごっこ「Marvel's Spider-Man」

せっかく引きこもってるんだから何か新しいゲームを遊ぼう。

手始めに選んだのはPSストアで押されまくってた「Marvel's Spider-Man」!フォトモードがイケてるっていう評判に加えてなんかいっぱい賞をとってたみたいだからずっと気になってはいたんだよね。

ただ致命的な問題がひとつだけあったんです。それは自分がスパイダーマンに関する知識がほとんどゼロで、アベンジャーズで活躍してるなぁ〜みたいな印象しか無いということ。

そんな奴がスパイダーマンの世界を体験しても感動できるんだろうか?そもそもキャラゲーっていうのは原作ファンがやるものであって自分は対象外なんじゃないのか?

でもまぁ良くは知らないにしてもスパイダーマンは結構好きなキャラだし、糸で飛ぶのが面白そう。あと写真撮りたい。それくらいの感覚でプレイを始めてエンディングまでプレイしてみた感想です。

スパイダーマンのゲーム

端的に言って、やはり良くも悪くもスパイディフリーク向けのゲームであると感じました。

その「悪くも」の部分を特に強く感じたのはストーリーと、その進行に大きく関わる登場人物との関係性でした。

悪くも

まずこのゲームのスパイダーマンは既に少なくとも8年間もヒーローとして活躍しているなかなかのベテランであり、その間に様々な敵と戦ってきたようなのです。コレが実にマズい。

フィスク、ショッカー、トゥームストーン、エレクトロ…それらが「皆さんご存知あのヴィランが!」みたいなノリで登場し、まるで同窓会で再会した悪友のようにジョークを交えながらスパイダーマンと会話を始めるのです。自分はその度に友達の輪に入れないぼっちの気分を味わいました。慣れてるけど。

もちろん知らないのはピーターを取り巻く人物も例外ではありません。敵よりはどんな過去があったのかはわかりやすいものの、中にはハリーのように、ピーターは随分と感情的に思い出をひとりごちるものの何があったのかはサッパリわからず、やはりココでも蚊帳の外。この広いマンハッタンで自分はひとりぼっちだ。慣れてるけど。

何かと良くしてくれるメイおばさんが何者なのかも終盤までわからないままだったし、名前だけはやたら出てくるベンおじさんなど、ピーターだけで自己完結している登場人物が多数いるのがとにかくキツい。ストーリーが展開する度に取り残され続け、イマイチ乗り切れませんでした。


でもね、それでいいんだよ!

良くも

最初に書いた通りこれはスパイディフリークのためのゲーム。対象としているプレイヤーにとっては上述の全てがプラスに働き、「良くも」要素に早変わりだ。

これも上で書いたけれど、キャラクターもののゲームっていうのはその原作ファンが主な顧客だ。で、原作のファンっていうのはキャラ同士の関係性や敵キャラがどんな奴なのかなんて知ってて当然なワケ。

それでどうしてゲームに手を出すかといえば、今までに供給されているコンテンツでは味わえなかった刺激を求めているから。漫画や映画がメインコンテンツのスパイダーマンとなればその想いはとても強いハズ。

そんなファンに対してキャラの説明的な浅いところから入るのってどうよ?そういうゲームって結構あるけどさ、それって求められてるの?そんな既知の情報でグダグダやってるくらいなら1秒でも早く深いところに潜って新しい刺激を楽しみたいよね。

だからこそこのゲームはいい!ちゃんとファンの目線に合っている!浅いところなんかすっ飛ばしていきなりキモの部分に飛び込んでるんだよ!

しょっぱなから何やら大物っぽい敵との戦闘で始まり、凄そうな敵がバンバン出てきて、その中で仲間たちともよく絡む。それも8年の間に積み重ねてきた関係性を感じさせながらだ。これはファンにとっては自分の感覚ともよくリンクするものでしょう。

このゲームの脚本が原作通りなのかオリジナルストーリーなのかは自分には判断がつかないけれど、そのどちらだとしてもなかなかにやりごたえのあるものになっているんじゃないかな。

もちろんメインストーリーだけではなくてサイドストーリーや収集アイテム、スーツやガジェットに至るまでディープなファンを楽しませるためのものがズラリ。こちらとしてはよくわからない古代の美術品を展示している博物館を巡っている気分だけれど、それはわかる人にとってはたまらないものでしょう。

そんなカンジで、全体として見てもキャラゲーとはかくあるべきといった姿勢を示してくれているのがニワカな自分にも好印象でした。ファンを楽しませることに全力を注いで作られたモノっていうのはその楽しさが外野にも伝播するんだなと思ったね。

あとあと、ストーリーで置いてけぼりを食らったって書いたけれど、ゲーム内で語られることに関してはついていけるので全く楽しめないってワケじゃあないよ。主要なボスたちの救われなさはなかなか心に来るものがありました。スパイダーマンってヒーローの活躍よりも闇を描いているというか、人間の狂気を主題にしてるものだったんだね。

よーい、アクション!

ストーリーを追うことに関してはなかなか辛い思いをしたのは確かだけれど、それ以外の部分に関しては話が別。

アクションを楽しむという面に関しては自分のようなスパイディ初心者にも全く問題ナシ!それどころかスパイダーマン独自のアクションスタイルは他では味わえない刺激を生み出していました。


スパイダーマンといえば兎にも角にもクモの糸、コレを駆使した移動がまず楽しい。オープンワールドのマンハッタンに立ち並ぶビルの間をボタン一つでスイング開始!加速と自由落下を繰り返しながらハイスピードで駆け抜けるのはただただ爽快!これだけでもかなりスパイディな気分を味わえるぞ。

操作も極めて簡単なので景色を楽しみながら気ままにスイングするのも楽しいが、よりスピードや正確性を突き詰めようとするとシビアな操作やアドリブ力が求められる奥深さも秘めているのがまた面白い。凶悪なヴィランを追い詰めたり鳩を捕獲したりするために腕を磨こう。


糸が活きるのはもちろん移動だけではありません。戦闘のカギを握るのもやっぱり糸

このゲームでは多対1どころか多多多対1みたいな乱戦がよく起きます。攻撃は□ボタン連打や長押しでバンバン繰り出せるものの、それだけでは難易度AMAZING(おそらくノーマル)の雑魚戦ですら息が続きません。

っていうかね、それじゃあダサいんですよ。スパイダーマンといったらクモの糸を駆使したスピード感あふれるアクロバティックな戦闘スタイルでしょ?敵をおちょくり倒し、余裕を見せつけ、ジョークを交えながら翻弄するみたいなカンジ。

そんな彼がガチンコで殴り合うのは非常にダサい。その最中に後ろから撃たれてウワーなんて言ってるのはさらにダサい。そこで活きるのがやっぱり糸なんですよね。

頭が光ったら◯ボタン!タイミングがピッタリならこれで糸を出して敵の動きを封じるぞ。△ボタンで遠くから狙ってくる敵に糸をくっつけて飛んで行け!これで乱戦から逃れると同時に危険な銃撃をシャットアウトだ。R1を連打してウェブシューターを発射!敵をグルグル巻きにしたら他の敵に投げつけるなり壁にくっつけて無力化するなり思うがままだ。

この他にも多数ある技を駆使して有利な空中戦闘に持ち込み、スーツやガジェットを絡めてスパイダーマンっぽく戦えば戦うほどうまい具合に攻略できるというのが気分を高めてくれるんですよね。

どこぞのヒーローではなくあくまでもスパイダーマンをプレイするゲームなので、彼らしく立ち回ることが結果につながるのはコレもまたキャラゲー作りの矜持を感じさせます。こちらも移動以上にアドリブ性が強いなかなかの難易度だけど、ついつい何度もチャレンジしたくなることうけあい。没頭しちゃいます。
ただ、プレイ中にあんまりいただけないなと思った点も無いワケではないんだよね。

その最たるものが上のようなパズルとか、スパイダーマン以外のとある人物を操作してスパイダーマンアクションが出来ないパートがしょっちゅう出てくること。しかもそれをやらないと先に進めないのがまた辛い。

特にスパイダーマンを動かしたくて遊んでるのにそれが出来ないっていうのは原作ファン以外には絶対に刺さらないと思います。なかなかのストレスでした。

でもね、パズルは設定でスキップできるし、スパイダーマン以外を操作する場面でもなるべくスパイダーマンが関わるようになってたりといった工夫が見られるのはプラスです。

作ってる側も無駄だなとは思ってるんだろうね、それでも色々なのっぴきならない事情があるんでしょう。ヒーローの苦悩だ。

フォトモード

最後に自分が楽しみにしていたフォトモードに関しても書いておきます。

ずばり、コレは良いものだ!自分が最も気に入っているフォトモードを持つホライゾンゼロドーンに迫るデキ、それどころか一部ではそれを上回るね。


パッと目につくところで面白いのはそのフレームとステッカーの多彩さ。アメコミの世界観に即した独特のフレームはそれに合わせた写真を撮りたくなるし、ステッカーもスパイダーマンと並べるとどれもしっくりくるのでついつい色々と貼ってみたくなります。

それとマンハッタンはあらゆる場所から様々な光が発せられているので、それを活かしたポートレート風の撮影もまた楽しい。フォトモード中に時間をいじることは出来ない(クリアすると特定の施設で変えられる)けれど、その分だけ自分で良い感じの光を探し出して撮影する楽しみがあるんですよ。

というかマンハッタンという舞台がとにかく密度が高くって、名所も多いのでロケーションには困りません。むしろ目移りしちゃって困る。マンハッタンってこんなに名所が多かったんだね…。

あとはボタン一つでフォトモードを起動できる、時間を止められるという最低限欲しい仕様はもちろんクリアされているのでストレスフリーだ。


少し足りない点として彩度やコントラストの調整は出来ないけれど、フィルターが多いのでそちらである程度対応可能。撮影中にポーズと目線を変えられない点に関してはどうにもならないから頑張ろう。

そうそう、各ボスとの戦いを撮影したいときのためにセーブデータは分けておいた方がいいよ。いやホント。マジで。後悔してる。

おわり

このゲームでは物語を進めるほどに、様々なクエストに挑む度にマンハッタンはバリエーション豊かな危機に陥ります。

さぁスパイディ、君の出番だ。鮮やかに、スピーディに、ジョークを交えながら平和を守ろう!

そんなノリで、知らないところはとりあえず無視してもグイグイ引っ張っていってくれるカンジはアベンジャーズの映画さながらでした。

あんまり詳しくなくてもスパイダーマン自体を知っていて、彼に好意を持ってる人なら十分に楽しめるんじゃないかな。そうでなくてもJJJ並みのスパイダーマンアンチでなければ独特なアクションゲームとして最後まで楽しめるハズ。いや、アンチなら知識がある分楽しめるのかな?訂正してJJJでも楽しめます。

次回作を出す気マンマンのラストシーンだったし、もし出たら今度は発売日に買ってもいいかなと思える一本でした。

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