そしたらなんかピラーボックスがついてるもんだからおかしいなって思ったら、コレ1986年に発売されたゲームの移植版だったんだよ!
突然やることになった昭和のゲーム。令和の今でも楽しめるのだろうか。ハロルドは一抹の不安を胸に捜査を開始した。
古くて地味。でも本格な推理モノ。
まず、このシリーズはとても地味だ。古典的なコマンド選択式アドベンチャーゲームで、全体的に雰囲気を盛り上げるための演出みたいなものは少ない。ひたすら捜査と推理にのめりこんで浮遊する真実を掴むという、グラフィック通りの硬派ぶり。派手さは無いけど雰囲気はとてもいいよ。
プレイ感覚も地味。現場100回!情報は足で稼ぐ!を地で行く本作。20を超える調査ポイントと登場人物、多数の証拠品と話題。それらを少しずつコツコツと繋ぎ合わせ、あまたの可能性から一つの真実にたどり着け!
ってカンジなんだけど、このゲームのコツコツっぷりは現代のゲームでは考えられないレベルのコツコツっぷり。
選択肢がとても多いので、その中に埋もれている有力情報を探し出すのは一苦労。怪しい証言は2回同じ話を聞かなくてはいけないなんてことも。
それらを全てあたってみるのは大変なので、自然と推理の比重が大きくなるのが面白いポイント。多くの可能性の中から「この話題はアイツが知っているハズ」とか「ヤツにこの物証を叩きつけてやる」がキマり続けている時の快感はえもいえない。
でも、刑事ドラマなんかでよくあるでしょ?思ってもみない人物が予想外の情報や人物に反応して大きな手がかりをくれるやつ。それが潜んでいたりすると推理じゃどうしようもなくて、結局は膨大な選択肢を総当りしなくてはならなくなるんだよね。
このゲームってフラグがほんのささいな会話に隠されてたりするから、それに気づかないまま結構そうなりがち。これが始まるとくたびれた刑事が足を棒にしながら成果が出ないまま町を歩き回っている感覚が味わえてしまうぞ。味わった。スーパーしんどい。
ただそのぶん新しいピースが手に入ったときの喜びは格別で、もうわかんないから寝るか~くらいのテンションがいきなりフルスロットルになることうけあい。物語がプレイヤーを引っ張る力を持ってるんだよね。
いつも2〜3件の謎が同時進行していて先が見えにくく、人物の相関関係は必ずと言っていいほど予想を裏切ってくる。トリック勝負ではなくて捜査で得る事実が全てなところも本格派っぽくて好きだな。
そして情報が集まったからといって次はああしようどこへ行こうみたいなヒントは基本的には出ない。
逆転裁判はおろか神宮寺三郎の比じゃなく出ない。ここでも推理力が試される。かと思えば尋問でツッパっていた容疑者が突然しおらしく自白を始めたりと、繊細なのか大雑把なのかわからない部分はある。古いからね。
ともあれ歩き回って情報を集めれば詰む事はないというのは嬉しいポイント。どれだけヤバそうな人物に絡んでいっても殺されたりしないし、情報を取りこぼしたことで迷宮入りENDなんてこともない。安心して足を棒にしよう。
主人公が捜査の末に犯人がわかるタイプの推理小説が好き、もしくは推理アドベンチャーゲームの古典に興味があるならやってみる価値は大いにアリ。
受け身ではなくゲームの言わんとすることを汲み取りながらハロルドをロールプレイすれば、今でも通じるストーリーや立ったキャラクターを存分に楽しめるハズ。最新機種に移植されるだけのことはあるね。
作品別ひとくち紹介
マーダー・クラブ
リバティシティが舞台の1作目。やっぱリバティシティって怖いところだ。捜査のために気軽に家宅捜索しちゃうところとか、容疑者を問い詰めるためにサクッと逮捕しちゃうカンジが違和感アリアリで、システム面でもただただ面倒だと思うポイントが多くあるけど、これは古いゲームだ。「今」の当たり前を捨てて慣れよう。
ただこの時から推理力を試されるゲーム性と複数の謎が絡み合うストーリーは確立されていて、何度か総当りするハメにはなったものの飽きずにプレイすることができた。
特に後半は雪崩のように物語が展開して、一気に伏線が回収されていく疾走感は一見の価値アリ。パンパンのぷよぷよを一手で全部消したみたいな爽快感だ。
ちなみに好きな登場人物は見るからに、そして名前まで間違いなくいいヤツなニック・グッドマン。またどこかで会いたい恋するアメリカンボーイだ。ちなみに愛車は白の日本車。カローラだな。
マンハッタン・レクイエム
結構大変な思いをしたのに買っちゃった2作目。人物の話題を出した際にその人の顔が出るようになるなどプレイ感がちょっと向上。人の顔と名前が一致しにくい自分にはとてもありがたい改善点。あとなぜかこの作品だけは英語版に切り替えることもできるぞ。
前作の登場人物が絡んでくるけど、今回からは舞台がマンハッタンに移っていることもあってここからやっても問題ない程度だ。
人のエゴや色恋沙汰、孤独、欲望みたいなものがムンムンに漂う物語にムサい刑事や謎の美女、ギャンブル、麻薬といったハードボイルド小説の典型みたいなパーツが存分に散りばめられていて内容としては一番好きかな。
キス・オブ・マーダー
あんなに大変だったのにまた手を出した3作目。マンハッタンレクイエムと同じ舞台だけど、キャラクターの大半が違う名前と役回りで登場するパラレルワールドなのでココから触っても問題ないと思う。ほんの少しだけ過去作品の要素も出てくるのでプレイしておくとちょっと多く楽しめたり余計に悩めたりするよ。
さすがに3作目ということでシステム面がものすごく進化しています。
- 話を聞き終えた人物がわかるようになった。
- 得た情報がバーで整理できて振り返りやすい。
- コマンドが全体的にスッキリした。
- 行動のヒントが多め。
- 章立てられている。
物語はタイトルの通り色恋沙汰が多めな印象。誰が誰を好きで、誰も誰が好きで、でも誰は誰を好きでをずっと聞いてた気がする。ちなみにエミリーのスリーサイズは上から90/60/90だ。僕はエミリーちゃんが好きで。
進行しやすさで言うと後半いちばんグダッたのがこれでした。あと証言よりも先に証拠品の詳細がわかることもあったり、証拠品の一部の詳細が最後まで明らかにならなかったりして、一番新しいわりに一番ガバってる感もあった。多少のガバりは古さで許されちゃうのは昔のゲームの強みなんだろうか。
終わり
プレイのしにくさ、味付けの薄さ、そういったものは確かに感じるかもしれない。こんなに地道な捜査をプレイヤーに要求するゲームなんて今では絶対に出せないでしょう。でも、だからこそ!って思うんだよね。3本プレイしきって貴重な体験ができたなって思ったよ。どれも物語が最後まで引っ張ってくれるから、大変は大変なんだけど苦痛でムリとはならないと思う。
とにかくビジュアル通りのゲームだからジャケット買いは間違いないゲームです。
J.B.ハロルドはそう言い残すとカウンターに空のグラスを残し、その後ろ姿をマンハッタンの闇の中に消した。
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